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台灣鐵路管理局EMU500型 -- VVVFインバータ制御・西部幹線、北廻線、宜蘭線

楊梅駅に停車中の第56編成(EMU556F)


台北駅に停車中のEMU500型


板橋駅に停車中の4連単独の樹林発・蘇澳行き


2編成が併結した状態。貫通幌が繋げられ、通り抜けもできる。

EMU400だけでは不足していた通勤電車の増備、そして電化区間を走る機関車牽引の通勤客車編成を完全に置き換えるために1995年に登場した台湾初のVVVFインバータ制御の通勤電車です。車両製造は韓国・大宇重工業で、従来のEMU400型よりも乗降時のスムーズさを考慮して3扉車となりました。編成構成はMc-T-T-Mcの4連で、両端の先頭車がM車になります。車体長は19.5mで、ステンレス車体となっています。日本の技術に影響された韓国製の電車とあって、ステンレス車体の工法は日本の205系などと同じです。主変換装置はドイツ・SIEMENS製で、1C4M制御のGTO-VVVFインバータが導入されました。台車はボルスタレスで、スイスのABB製です。EMU500型は1995年〜1997年にかけて大量に増備され、最終的には86編成が製造されました。また、列車種別で「區間車」専用となりますが、この區間車運用は長距離を走る場合もあるため、1編成あたり2両の中間車に1箇所ずつトイレが設置されました。このトイレはE231系のような構造で、ドアはスイッチを押すと自動で開閉できます。
EMU500型は西部幹線、北廻線、宜蘭線の區間車で活躍しており、電化区間で幅広く見ることができます。1編成4連で、乗車率の高い運用では4+4の8両で運行されます。新竹以南や宜蘭線では4連単独運用がメインです。
>>加速音(フルノッチ加速)

収録区間:縦貫線 板橋発車時(ホーム上から収録)

>>走行音(EMC556)

収録区間:縦貫線 富岡→湖口(貫通路で収録)

>>走行音(EMC548)

収録区間:縦貫線 台北→萬華(貫通路で収録)

>>走行音(EMC516)

収録区間:縦貫線 台北→萬華(貫通路で収録)

>>走行音(EMC538・板橋発車)

収録区間:縦貫線 板橋発車時(貫通路で収録)

>>走行音(EM556) ←ドアと戸袋の隙間にマイクをセットしました。

収録区間:縦貫線 埔心→楊梅(車内から収録)


まず最初に言っておきますが、車内から普通に収録しても話にならないほど変調音が聞こえてきません。原因は空調音と先頭車側面にある排気口からの送風音です。 そこで、先頭車(M車)同士が連結している貫通路付近で収録することを思い付きました。これは2編成が併結して走る8両でのみ可能となります。EMU500型などの貫通幌は「二枚幌」で、幌と幌の間に隙間が生じ、走行音が直接漏れてきて変調音も鮮明に聞こえてきます。つまり、貫通路の扉を開けた状態にして側に立って収録するという方法です。ただし、この収録方法は車内を通行する乗客、そして車内を巡回していることが多い車掌の迷惑にならないよう気を付ける必要があります。そして、どうしても幌と渡り板の擦れる音も入ってしまいます。リスクはありますが、変調音は比べ物にならないほど鮮明に収録することができます。
EMU500型はSIEMENS製のGTO-VVVFで、日本では聞くことのできないパターンの変調音です。非同期モードは三菱GTOのような音で、途中から音が一定になります。この一定になったときの非同期音は近鉄5200系などと同じ音程です。しかし、同期モードでの変調音は他とは比べることのできない独特なパターンで、なかなか味のある響きがします。回生は全電気ブレーキで、完全に停車するまで回生が効いています。

SIEMENS製主変換装置(タイプ1)

SIEMENS製主変換装置(タイプ2)

SIEMENS製とあって、JR東日本E501系と酷似しています。素子の冷却は強制通風で、起動する前にはブロワの起動音も同時に聞こえます。装置には「SIEMENS」プレートが貼られています。この主変換装置はフィルターの網目が異なる2タイプがあります。製造時期の差によるものでしょうが、音に何ら違いはありません。また、両側面から見ても同じ形状をしています。

TR54型ボルスタレス台車

スイス・ABB製のボルスタレス台車です。横に長めの台車なので、ジョイント音にもその特徴が表れます。

パンタグラフ

シングルアーム式で、ヨーロッパ風な形状をしています。交流専用車なのでパンタ枠と高圧線を支える碍子が目立ちます。

メーカーズプレート

韓国・大宇重工業のプレートが前面貫通扉に貼られています。

■車内自動放送

台北到着

新豊到着

板橋到着

北京語→台湾語→客家語の順で流れます。「各位旅客、〜站到了。請準備下車」と言っており、〜の部分に駅名が入ります。この「各位旅客、〜站到了。請準備下車」をそれぞれ異なった3つの方言で放送するので、言っていることは全く同じでもどれも違ったように聞こえます。また、自動放送装置の調子が悪い編成がいくつか存在し、放送の音程が狂っていたり、音量が小さすぎて聞こえなかったりすることがあります。

■内装

車内の様子

台北エリアは混雑します。この写真ではわかりませんが、座席はビニール張りの簡素なものです。クッションが厚いので座り心地は良いです。

ドア付近

EMU400型に比べるとステップ段差が小さくなりました。どの駅もホームが低いので、床下がよく見えます。

■行先表示機

蘇澳

Jhong-Li

苗栗

方向幕で、漢字表示とあって余計に日本と同じ雰囲気です。運転室にある方向幕一覧表を見ると、かなり色々な行先が出せるようです。

「電車」表示

前面にある小さな表示幕にはEMU500型の列車種別である「區間車」が表示されますが、最近までこの區間車は「電車」という種別でした。ほとんどの編成で「區間車」に変えられましたが、写真のようにまだ交換されていない編成が存在します。

■基本編成表

先頭車のEMC500、EM500がM車です。

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